日高敏隆著「世界を、こんなふうにみてごらん」を読みました.

学内限定で公開されている書評ブログに投稿したものを再掲します.

 本書には,2009年に亡くなった動物行動学者・日髙敏隆氏のエッセイ10篇と講 演録1篇が収められています.日髙氏はコンラート・ローレンツ著「ソロモンの指環」などの翻訳書や「ネズミが地球を征服する?」などの一般向け科学啓蒙書 を数多く残されていますから,学生の皆さんもどこかでその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか.我が家の書棚にも「ファーブル植物記」(林瑞枝氏 との共訳)と「ミジンコの都合」(坂田明氏との共著)というユニークな2冊が収められてますが,いずれも大学生のときに購入して以来の愛読書になっていま す.
 さて,本書の内容ですが,キーワードは「イリュージョン」です.目に映る世界をイリュージョンとして捉え,相対化することの大切さが,あの独特の語り口で述べられています.例えば,

正しく見えることと,本当に正しいかどうかは関係ない.(40ページ)

どんなものの見方も相対化して考えてごらんなさい.科学もそのうちのひとつの見方として(42ページ)

科学は,真理の追求だ,などという人がよくいますけれども,そういう人のことは,ぼくはまったく信用しません.そんなものはあるはずがないというような気がします.(158ページ)

等など.皆さんの書棚にも一冊どうでしょう.

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