藤本とし著「地面の底が抜けたんです」

以前にご紹介した学内書評ブログに投稿したものを再掲します.

学生時代,大学の正門前の古本屋によく立ち寄っていた.たまに掘り出しものもあって,見つけたときの喜びは何物にも代えがたいものがあった(戦前に出版されたE. ゼンガー著「ロケット航空工学」を入手したのもこの古本屋であった).

本書は,その古本屋で見つけて購入したもので,何度も読み返している愛読書である.さすがに20年以上経つと背表紙も破れ,ぼろぼろになってきたので,昨年2冊目をネットで購入した(送料込みで500円程,良い時代になったものだ…).

本書は2部構成で,前半にエッセイが,後半に口述筆記による自伝「地面の底がぬけたんです」が収められている.

著者の知性と感性,ユーモアに彩られたエッセイは,どれも真に素晴らしいが,これらを読み進めるうちに,著者の壮絶な人生が徐々に明らかになってくる.

藤本氏は18歳でハンセン病に罹り,47歳で失明した.世間から隔離され,家族,光,手足の指を失った絶望の中で彼女が見つけた「光」が何だったのか,是非手にとって確かめていただきたいと思い,紹介させていただいた.

写真 Feb 02, 12 21 45 PM