再び,ポリア著『いかにして問題をとくか』

今朝,本学の数学担当の先生から,高大連携事業の一つとして実施されている共同研究のアンケートの依頼を受けました.回答を送った後,改めてポリアの本を読み直してみました.以前も本サイトで紹介したのですが,印象的な文章をここに引用させてもらいます.

13 振り返ってみること

かなりできのよい学生でも解答がえられてそれをきちんとかいてしまうと,本をとじて何か外のことに気をとられるのが普通である.このようにしてかれらは仕事の大切で意義深い部分をにがしてしまうのである.解ができ上がった時にこれを振返り,結果を調べ直してそれ迄にたどった道を見直すことは,かれらの知識をいっそうたしかなものにし,問題をとく能力をゆたかにするものである.よい教師はどんな問題でも完全にときつくされるものではないということをよく理解し,これを学生につよく印象づけなければならない.いつも何かやるべきことは残っているのであり,どんな場合でも解答の理解をさらに深めることは可能である.

学生はすでに計画を実行した.彼は解答をかき,各段階を検討した.そうしてその解が正しいと信ずべき根拠をもっていると信じている.それにも拘わらず誤りは常に可能であり,議論が長くて複雑な場合においては特にそうである.したがって験証は常に望ましい.特に結果や議論を手取早く直感的に験すことができる場合にはそれを忘れてはいけない.結果が正しいかどうかをためすことができるか.議論が正しいかどうかをためすことができるか.

われわれが,ある事物の存在やその性質を知ろうとする場合には,われわれはそれをみたり触れたりしたいと考える.その時に2つの違った感覚を通してたしかめようと望むように,われわれは2つのちがった仕方で証明をし度いと望むのである.同じ結果を違った仕方で導くことができるか.われわれは勿論長くてむずかしい議論よりは短くて直感的な方を選ぶ.それを一目で理解できるか.

教師の最大の義務は,学生に数学の問題がお互いに何等の関係がないものであるかのように思わせたり,またそれが他の事柄と無関係であるなどと考えさせない ようにすることである.解答を振り返ってみることは問題の間の関連を調べるのに絶好の機会である.学生が解答をふり返ってみて真面目に努力した揚句,成功 したと思えばそれに興味を感ずるようになるであろう.そうして何か他のことが同じような努力でできないか,またいつか別の時にうまく成功しないだろうかと 熱心に追求するようになるだろう.教師は同じ手続きや結果を再び利用することができるように学生を力づけることが必要である.その結果や方法を何か他の問題に利用する事ができるか.

(G. ポリア著,柿内賢信訳『いかにして問題をとくか』丸善出版(1954)より)